産業医のコラム一覧

麻疹について

 2019年1月ごろから、麻疹が大阪を中心に流行しています。都内でも海外旅行から帰国後の旅行者などにも感染がみられるケースが出ています。
 麻疹の感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、その感染力は非常に強く、マスク、手洗い、うがいでは防ぐことが出来ません。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症します。しかし、一度感染して発症すると、ほぼ一生涯免疫が持続し、インフルエンザのように毎年のように感染することはありません。
 感染してから約10日後に発熱や咳、鼻水、目の充血といった風邪のような症状が現れ、2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と全身の発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併することもあり、患者1000人に1人の割合で脳炎が発症し、死亡することもあります。
 かつては小児のうちに、麻疹に感染し、自然に免疫を獲得するのが通常でした。また、ワクチン接種後にも麻疹ウイルスに暴露して、ほぼ一生涯続く免疫を獲得していました。しかし、近年、大きな流行が少ないことから、ワクチン接種後に成人になるまでに麻疹ウイルスに暴露しなかったために、免疫が10年程度で効果が弱くなり、大人になって感染する例が目立ってきました。
 予防は、ワクチン接種が基本です。ワクチン接種をすることで、95%以上の人が麻疹ウイルスに対する免疫を獲得することができます。麻疹に罹患したことのない方で、ワクチン未接種の方は、ワクチン接種を検討して下さい。
また、麻疹と診断された場合は、医師の許可(通常は、熱が下がった後も3日間は出勤を控える。)があるまで出勤は控えて下さい。

参考資料
「厚生労働省 麻しんについて」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html

2019年02月15日

風疹について

 2018年夏頃から首都圏を中心に風疹が流行しました。2019年に入ってから、風疹の届出数は昨年に比べ減少していましたが、3月から再び増加傾向にあり注意が必要です。
 風疹は発熱や発疹などの症状が出るウイルス性の感染症で、妊娠中の女性が感染すると生まれてくる赤ちゃんの目や耳、それに心臓などに障害がおきる「先天性風疹症候群」となるおそれがあります。
 風疹にかかってからの特別な治療法はありません。風疹にかからないように予防接種を受けることが大切です。明らかに風疹の既往、予防接種歴がある者を除いた者は、特に予防接種を受けることが望ましいとしています。また、予防接種を受けていても風疹の抗体が十分でない方もいます。
 現在、厚生労働省は、今般の風しんの発生状況を踏まえ、妊娠を希望する女性とその家族だけでなく、これまで風しんの定期接種をうける機会がなかった1962年(昭和37年)4月2日から1979年(昭和54年)4月1日までの間に生まれた男性に対して、抗体検査(免疫の状態を調べる血液検査)を行った上で、抗体が不十分な対象者に対して予防接種の補助を行うこととなりました。(順次、対象者に市町村からクーポン券が送付されます。)
 詳細はお住まいの市区町村のホームページでもご確認ください。

参考資料
「東京都福祉保健局」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kansen/fuushin.html

「東京都感染症情報センター」
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/

2019年05月24日

感染性胃腸炎(ノロウイルス)について

 冬場(11月から3月)は、ノロウイルスによる食中毒が流行しやすい時期です。ノロウイルスは、形状が非常に小さいにもかかわらず、感染力は非常に高く、少ないウイルスの摂取でも感染し発症します。
 感染経路は、ウイルスを蓄積する牡蠣を代表とする二枚貝を生で食べることにより感染することが多くいです。他に、感染した人が調理した食品、患者の便、嘔吐物からも感染します。致死率は低く、数日で回復する病気ですが、稀に抵抗力の弱い小児、高齢者は、脱水症、嘔吐による窒息、肺炎等で死亡することもあるので、十分な注意が必要です。
 感染防止対策は、ノロウイルスの感染源となる二枚貝をしっかりと加熱すること(90℃1分)、消毒(次亜塩素酸ナトリウム)、手洗いなどを徹底して行うことが効果的です。
 ノロウイルスについて、厚生労働省、東京都のホームページ(下記のリンク)で詳しく説明していますので、こちらを参考にしてください。

参考資料
「厚生労働省・食中毒の原因(細菌以外)」
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/03.html

「東京都感染症情報センター・感染性胃腸炎」
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/gastro/

2018年10月15日

花粉症について

2019年春のスギ花粉の飛散開始は、関東地方で例年並みの2月上旬から始まりました。飛散数予測は、関東地方では例年と同様の飛散量を見込まれており、注意が必要です。
花粉症は、鼻や目などの粘膜に花粉が接触することによって引き起こされるアレルギー反応で、くしゃみ、鼻汁、鼻づまり、目のかゆみなどの症状がみられます。
対策は花粉の接触を防ぐことが基本になります。花粉情報に注意して飛散の多い時は、外出を控える、外出時にマスク、メガネを使う、花粉が付着しやすい衣服を避けて、帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する、洗顔、うがいをするなどの対策を取りましょう。
天候、気温、風向きによって、花粉の飛散量は多く変わりますので、花粉情報サイトを確認しながら、花粉の飛散量が多い日には十分に注意してください。

環境省花粉情報サイト
http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/

2019年03月01日

熱中症について

 今年も熱中症に注意が必要な時期になりました。
 気温が28度を超える時には、熱中症に注意し、特に気温が35度を超えるときには屋外での活動を控えるなどの対策を取って下さい。熱中症では、体温の上昇と脱水症状がみられます。スポーツドリンクを飲用して脱水症状を防ぎ、直射日光を避ける、濡れタオルを首にかけるなどの対策で体温の上昇を防いで下さい。
 軽度のめまい、立ちくらみ、汗が止まらなくなる、頭痛、吐気などの熱中症の症状がみられた場合には、足を高くして横になり、スポーツドリンクで水分塩分を補給し、太い血管のある首、脇の下、太腿の付根を冷たいタオルなどで体を冷やす必要があります。
 意識がない、もうろうとしている場合は重症の可能性がありますので、上記処置を取りながら、直ちに救急隊を要請して下さい。体温の上昇、脱水等で脳を始めとする重要な臓器に血液が供給できなくなり、命の危険のある病気ですので、今夏も十分に注意して下さい。

参考資料
「熱中症からカラダを守ろう」大塚製薬
http://www.otsuka.co.jp/health_illness/heatdisorder/

「熱中症関連情報」厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/

2019年05月21日

夏場の食中毒について

黄色ブドウ球菌による食中毒は、ほぼ年間を通じて発生していますが、暑くなる夏期に多くなるので特に注意が必要です。
黄色ブドウ球菌は、人の皮膚や傷口に常に存在している細菌です。感染することは通常問題になりませんが、室温下で菌の増殖と同時に毒素(エンテロトキシン)を出し、この毒素が食中毒の原因になります。毒素を含んだ食品を摂取後、約1~3時間程度で、吐き気、激しい嘔吐、下痢などの症状がみられます。この毒素は100度で30分加熱しても無毒化されませんので、細菌を付着させない、増殖させない(冷蔵庫を利用して10度以下に保つ。)ことが重要です。(腸管出血性大腸菌やノロウイルスは、十分に加熱することで防げます。)
「食品は、なるべく素手で触らないようにする。(おにぎりは要注意です。ラップ、ビニール手袋を使用してください。)暑い日の室温は、細菌の増殖しやすい環境ですので、食品はすぐに冷蔵庫にしまうようにする。」などの細菌を付着させない、増殖させない対策をとってください。

参考資料
「食品衛生の窓」東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/micro/oushoku.html

「食中毒」厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/

2019年06月25日

インフルエンザワクチン接種について

 高齢者の方、持病のある方、過重労働などで免疫力が低下している方がインフルエンザに罹患すると、重症の肺炎を併発して命にかかわることがあります。ワクチン接種により、インフルエンザの感染を完全に防ぐことはできませんが、症状を緩和することができます。
 今年も10月からインフルエンザワクチンの予防接種が始まります。流行の始まる12月上旬までにワクチン接種をお勧めいたします。毎年、インフルエンザの流行は12月に始まり、1月~3月に流行のピークを迎えることが多いです。流行時期に38度以上の発熱などの症状がみられた方は、インフルエンザの可能性があるた
め、早めに医療機関に受診して下さい。また、流行時には、繁華街などの外出時に予防のためにマスクをする、外出後には手洗い、うがいを心がけることも重要です。

参考資料
「厚生労働省 インフルエンザQ&A」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

「東京都感染症情報センター・インフルエンザ流行状況」
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/flu/flu/

「国立感染症研究所・流行レベルマップ」
http://www.nih.go.jp/niid/ja/flu-map.html

2018年10月01日

結核について

 日本の結核罹患率は先進国では最も高く、世界では中程度の流行国になります。職場、学校、医療機関、高齢者施設などでの集団感染が続いており、結核は国内で年間約2万人が発病する一般的な疾患です。
 結核に特徴的な症状はありませんが、全身症状としては、咳、痰、全身倦怠感、発熱、体重減少などがあります。初期には咳や痰もなく、周りにうつすことはありませんが、発見が遅れて咳が出始めると、周りに感染させるようになります。
 結核の早期発見のために、年1回の定期健康診断(胸部レントゲン検査)を受けてください。また、咳、微熱などの症状が2週間以上続く場合には、必ず呼吸器内科を受診することを心がけて下さい。

参考資料
「結核について」公益財団法人結核予防会
http://www.jatahq.org/about_tb/index.html

2018年07月31日

VDT作業について

 VDT作業とはディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT (Visual Display Terminals) 機器を使用して、データの入力、文章の作成・編集などを行う作業のことです。通常のオフィスでは、パソコンを使用する業務がVDT作業にあたります。
 VDT作業を長時間行うと目の疲れ、目の痛み、目の乾燥、視力低下などの眼の症状と肩こり、腰痛など身体症状の原因になることがあります。特に、1日の連続作業時間が長くなるほど、目に関する訴えが多くみられます。
 対策として、VDT作業は連続1時間を超えないようにすること、つまりVDT作業1時間毎に10~15分の休憩時間をとる必要があります。また、ときどき適度に身体を動かして、緊張をほぐすことも重要です。視力低下が目立つ方、目の乾燥が強い方は、その他異常を感じた方は、早めに眼科医に診てもらうことが重要です。
ディスプレイの位置、明るさ、キーボードの位置、椅子の高さでも疲労度は変わってきますので、机の上、机の下は整理整頓を心がけ、無理な姿勢でパソコン作業をしないようにして下さい。

参考資料
「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000184703.pdf

2018年12月01日

夏に流行しやすい感染症について

 夏に流行しやすい感染症として、プール熱(咽頭結膜炎)、ヘルパンギーナ、手足口病があります。
 プール熱(咽頭結膜炎)は、高熱が1週間程度続き、さらに眼の充血や喉の痛みなどを発症します。プールで感染することが多く、感染力が強いため、注意が必要です。
 ヘルパンギーナ-は、6月~7月の梅雨時期から流行ることが多く、子供がかかりやすい夏風邪です。高熱、口内炎ができ、食事、水分を摂取することも辛くなります。1週間程度で症状が治まりますが、脱水に注意が必要です。
 手足口病は、軽度の発熱等の風邪症状にともない、口の中、手のひら、足の裏などに、水疱や発疹がみられます。重症化は稀で、発疹も1週間程度で改善します。
 エアコンや季節の変わり目で気温差・湿度差が大きいと自律神経が乱れて、体温調節が出来なくなり、免疫力が低下して風邪になりやすくなります。具体的な対策として、エアコンを利用するときには室内の冷えすぎに注意して、26~28度くらいの適温にする、体力をつけて免疫低下を防ぐために睡眠を十分にとることが重要です。また、外出先から帰ってきたら、手洗いうがいを心がけてください。

参考資料
「厚生労働省・手足口病に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/hfmd.html

2019年06月20日